「制御事業におけるグローバルNo.1カンパニーになる」という中長期目標を掲げる産業プロセスオートメーション国内最大手の横河電機。創業100周年の伝統に加え、優れた技術開発を背景に成長を続ける同社が、その未来を探索する「イノベーション本部」に「視覚会議®」を社内プロジェクトとして取り入れた事例です。
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グローバル企業の「価値共創」をサポート
横河電機株式会社 イノベーション本部 山本忠幸様 / 下田聡一郎様 / 生田目哲志様
「制御事業におけるグローバルNo.1カンパニーになる」という中長期目標を掲げる産業プロセスオートメーション国内最大手の横河電機(東京都武蔵野市)は、2015年に創業100周年を迎えます。伝統に加え、優れた技術開発を背景に成長を続ける同社は、世界各地に拠点を持つグループ社員約2万人のグローバル企業。
その未来を探索する「イノベーション本部」が、「視覚会議®」を社内プロジェクトに取り入れたのは、2013年8月でした。社内ワークショップを企画した知的財産・戦略センター戦略企画室の山本忠幸さん、参加した市場開拓部の生田目哲志さん、下田聡一郎さんら3人に、その効果や意義についてうかがいました。グローバル企業に日本発ファシリ?
横河電機イノベーション本部の使命は3つ。不確実な未来を探索し、新たな市場創造に取り組む「先行マーケティング機能」「市場開拓機能」、中核技術を極めていく「研究機能」です。同社がまとめた複数の未来シナリオ「Future Sense」を核に、現実に起きていることを海外拠点や社外有識者との共創活動により10年、20年後の同社の未来と新たな事業創造の機会を探っています。
ワークショップなどを日常的に企画・運営する部門だけに、先進的なファシリテーションスキルに触れることも多いそう。視覚会議®ファシリテーター講座を受講時も「グローバル企業に日本発の手法は通用するのか、50分で本当に合意が形成できるのか確かめてみよう」(山本さん)という好奇心があったそうです。
受講初日にして、山本さんは「腹落ちする合意形成」を体感。実は山本さんは、講座終了直後に社内ワークショップを従来型ファシリテーション手法で運営することにしていたそうですが、急遽方針を転換し、学んだばかりの視覚会議®実施を決断。
さすがに初回は戸惑った面もありましたが「プロセス設計がシステマティックで、ツールも準備されているので、2度目、3度目と回を重ねるごとに運営側も理解が深まり、アレンジする余裕がでてきます」と、「視覚会議®」におけるファシリテーターの負担の軽さも実感した様子でした。組織横断的プロジェクトに最適
研究者でもある下田さん、生田目さんは参加者として参加し、技術者気質が生み出してしまうイノベーションの壁を越える可能性を感じたそうです。
「多様な専門性を持った研究者は、ロジックが見えず、目的も定まらない、不透明な未来に向けて走っていくことがとても苦手。その点、『あるべき姿』をメンバーで合意形成して設定する視覚会議®は、組織横断的なプロジェクトの導入部分に使える方法ですね」と、下田さんは語ります。また、キーワードを出していくプロセスは「特に自己紹介などしなくても、何を重視している人なのか、価値観がわかって良かった」という意外なメリットもありました。
視覚会議®は、通常使っている「問題を特定し原因を分析して、解決策を立案する」という「ギャップ・アプローチ」の会議手法ではなく、「あるべき姿はなにか、そのために何をするか」という「ポジティブ・アプローチ」。
山本さんは「製品の不具合など技術的な問題を解決するにはギャップ・アプローチは必要ですが、場のエネルギーが落ちてしまう。視覚会議®は、ネガティブな雰囲気はならない」と、不思議に思ったそうです。アイデア創造を日常に
「視覚会議®」においては、アイデア出しから提案の精緻化までの各プロセスを「モジュール」のように使いこなすファシリテーターが、「アイデアを日常的に創造する企業風土」を育てる重要な役割を担います。
特に、異質な文化が共存するグローバル企業が競争力を維持していくためには、メンバーの強みを生かしながら「あるべき姿」=価値を創り、共有する作業が欠かせません。
今後の視覚会議®の活用について山本さんは「必要なプロセスを切り出してそこだけ集中的に頭を回して、アイデアを出したり、その精度を上げたりすることができる良さがあります。エバンジェリストとしてどんどん実践していきたいですね」と意欲的。
「海外拠点でもやってみたいので、ぜひ英語版のツールも開発してほしい」と、グローバル展開も検討されています。
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