日産自動車株式会社 グローバルデザイン本部の管理部門(アドミチーム)が抱える問題を解決し、
世界トップレベルのデザインチームに相応しいクリエイティブなチームに進化させるため、
視覚会議Rの全フェーズを個人レベルで実施し、 最終的には役員へのプレゼンテーションまで実施した事例です。
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大胆に発想しチャレンジできる管理部門を目指して
日産自動車株式会社 グローバル・デザイン・マネジメント部 佐藤 朗雄様
クリエイティビティを発揮できない?
一般的には、企業においてルーチン業務を担当する管理部門にクリエイティビティは必要ないと考えられています。しかし、営業や開発といったさまざまな部門のサポートを有効におこなうには、管理部門であっても柔軟に創造性を発揮できるのが望ましいはずです。日産自動車株式会社 グローバルデザイン本部では、現在の管理部門(アドミチーム)が抱える問題を解決し、世界トップレベルのデザインチームに相応しいチームに進化させるためのアイデア発想法を求めていました。同部のアドミチームの問題とは、個々のメンバーがそれぞれのルーチン業務に手一杯という状況でメンバー/チーム間の連携が弱く直接デザイン開発に従事していた者が多いために管理部門に籍を置くこと自体がメンバーのストレスにつながっていたことでした。「根本的な問題解決はアドミチームがクリエイティビティを思うさま発揮できる環境を作ることではないか?」そう考えた同部では、視覚会議®の導入を決定しました。
広げた発想を「叩いて」強化する
視覚会議®の全体プロセスは、ビジョン形成・論点整理のためのフェーズ1、アイデア発想のためのフェーズ2、そしてアイデアをブラッシュアップするためのフェーズ3で構成されます。今回のプロジェクトでは、フェーズ1のみを個人で、その後のフェーズはチームで実施しました。また、完成したアクションプランを各メンバーがグローバル・デザイン・マネジメント部のゼネラル・マネージャーにプレゼンテーションすることが最終目標に設定されました。
視覚会議®を他のアイデア発想法から大きく差別化しているのが、フェーズ3で登場するPPCOという手法です。PPCOでは、フェーズ2で得たアイデアの潜在可能性を引き出して「膨らませ」た上で、あらゆるリスクや懸念点を列挙してアイデアを「叩き」ます。
アイデアを「叩いて鍛える」ことで実現可能性を高められる点が視覚会議®の特長の一つです。」極限まで実現可能性を高めた最終アイデア
今回のプロジェクトでは、約1ヶ月半の期間にフェーズ1、フェーズ2、そしてフェーズ3を実施しました。
元々がデザイナーだったメンバーでも、一定の期間をアドミとして過ごしたためか思考が硬直化し、アイデアを出すのに苦慮した方もいたようです。それでもほとんどの参加者が智慧カードや6観点カード、そして8つの評価軸といったツールを活用し、自由にアイデアを発散・収束させ、リスクや懸念点を列挙して叩き、質の高いプレゼンテーションを完成させることができました。
フェーズ2で得られたアイデアの事例のうち特に興味深いものを5つ紹介しましょう。
(それぞれ「世界トップレベルのアドミになるために、◯◯◯するにはどうする?」という論点でチームごとにアイデア出ししたものです。)◎部屋は白。グループ毎に色を決めて、保管するファイルも同じものを使う。
-「皆に情報がわかりやすくするにはどうする?」という論点。
◎24時間フリートークが出来るエリアを設置する。
-「同じタイミングで情報を共有するにはどうする?」という論点。
◎4コマアニメで情報を伝える。
-「情報を見やすく有効利用をするにはどうする?」という論点。
◎iPhoneを一人1台持ち、Face timeでいつでもどこでもTV会議!
-「要望に答えるレスポンスを半分に縮めるにはどうする?」という論点。
◎トップレベルのアドミと言われる企業の使えそうな点、強みといわれる点を真似てみる。
-「アドミ(の側面)から、国内外に日産デザインの認知度を上げるをするにはどうする?」という論点。上記以外にも、フェーズ2では各メンバーが5つ以上のアイデアを出し、全体で330以上のアイデアが集まりました。 この中からフェーズ3のPPCOを経てどんなアイデアが生き残り、グローバル・デザイン・マネージメント部のゼネラル・マネージャーにプレゼンテーションされるのか、大変楽しみです。
次はチームとして視覚会議®を
日産自動車株式会社 グローバルデザイン本部では、今後も視覚会議®による研修を実施したいと考えています。今回のプロジェクトを振り返った結果、ビジョン形成・論点整理はチームとして実施する必要性を感じたため、次回はフェーズ1もチームで実施したいそうです。一般的には創造性が求められない管理部門であっても、クリエイティビティを発揮するメリットは必ずあるはずです。視覚会議®の導入により、ルーチン業務を無難にこなす従来型の管理部門も、大胆な発想で自発的に他部署をサポートできる新しい管理部門に進化することができます。
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